世の動きに反して「値上げしない企業」の理由とは? ワークマン、イオン、GUなど

2022/10/19 07:00

強烈な値上げラッシュに消費者の負担は増える一方だ。しかしこんな状況下でも、「値上げしない宣言」をしているワークマンのような企業もある。値上げしない企業の勝算はあるのだろうか? ワークマンの「価格据え置き宣言!」 値上げしない企業の代表がワークマン <7564> だ。 職人向けの作業着と関連商品をベースに、ス

強烈な値上げラッシュに消費者の負担は増える一方だ。しかしこんな状況下でも、「値上げしない宣言」をしているワークマンのような企業もある。値上げしない企業の勝算はあるのだろうか?

ワークマンの「価格据え置き宣言!」

値上げしない企業の代表がワークマン <7564> だ。

職人向けの作業着と関連商品をベースに、スポーツウェア、アウトドア、キャンプ用品、アパレルなどに分野を広げている。2022年2月に「価格据え置き宣言!」をスタート。作業着業界も10〜15%の値上げに踏み切るところが多い中、2022年秋冬の自社製品(PB)全アイテム、2023年春夏の96%を2023年8月末まで据え置く。

過去に値上げで需要が急減した経験があるからだ。2009〜10年頃のリーマンショックの景気後退時と2014〜15年のアベノミクスの円安局面で、作業用ズボンなどを約2〜3割値上げした。

その結果、売上が約3割減少し、回復まで時間がかかった。2000年以降で前期比営業減益になったのは値上げした2009年と2010年3月期、2015年3月期だけである。

ワークマンには定番商品で息の長い商品が多いので、コスト削減効果がでやすい。このピンチを自助努力で乗り切る考えだ。

GUの主力商品の価格据え置き

ファーストリテイリング <9983> グループのジーユー(GU)も主力商品の価格を据え置く方針だ。主力商品のニットやカラーパンツをこれまで通り3,000円以下に抑える。ユニクロが、フリースやダウンなど定番商品の一部を値上げした動きとは対象的だ。

GUはユニクロより価格帯が安く、若者などに支持されるトレンド商品が多い。ユニクロは高年齢層にも支持されるような長く使える定番商品が多い。GUは買い控えにつながらないように価格据置をアピールした。

ユニクロは、長期で使えるフリースやダウンは機能面を改善して値上げに踏み切った。しかし、売れ筋のヒートテックやダウンのコンパクトベストなど日常的に使う商品の価格は据え置いている。グループ内でのそれぞれのブランド価値を高める狙いがありそうだ。

イオンはPB商品の値上げ凍結

イオン <8267> は意地の価格維持を続けている。2021年9月、PBの「トップバリュ」の食料品・日用品約5,000品目を2022年6月までの価格を据え置くと発表した。

2022年7月以降も、マヨネーズ、カップ麺、ティッシュペーパーの3品目を除きほとんどの商品価格を据え置く。

「価格据え置き」の宣伝効果もあるのだろう。低価格なPB商品の需要が伸びている。総合スーパー部門の営業利益が3〜5月期は9年ぶりに黒字化した。3〜8月中間時点では総合スーパーは電気代の上昇で赤字になったが、会社全体の営業利益は過去最高となった。意地の価格維持は今のところ成功しているようだ。

シャトレーゼの「値上げしないことへの挑戦」

洋菓子販売などを手掛ける「シャトレーゼ」(未上場)も値上げをしない。

店頭には「値上げしないことへの挑戦」としてこんな張り紙があるという。

「お客様の安心のため、価格維持に挑戦しております。シャトレーゼは自社努力で無駄を省き、原材料高騰による商品価格の値上げをしておりません。お客様はいつでも安心してこれまで通りの価格にてご利用できるよう努めて参ります。 店主」

株式市場では、生活必需品は値上げしてもそれほど需要が落ちないから「値上げは買い」という見方もある。ただ、値上げしない企業の業績と株価動向にも注目しておきたい。

文/編集・dメニューマネー編集部

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