フィガロ、パオ……バブル期に生まれたカワイイ中古車が令和に売れるワケ

2021/12/23 19:30

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バブル崩壊直前に一大ブームを巻き起こした「レトロでカワイイ中古車」が、再び注目されています。その代表格である日産 フィガロやパオが、30年後の現在も売れているようです。中にはむしろ海外での人気が高い車種もあるようです。 日産が仕掛けた「パイクカー」ブーム 1980年代後半から90年代前半のバブル期に、日本で「パイクカー

バブル崩壊直前に一大ブームを巻き起こした「レトロでカワイイ中古車」が、再び注目されています。その代表格である日産 フィガロやパオが、30年後の現在も売れているようです。中にはむしろ海外での人気が高い車種もあるようです。

日産が仕掛けた「パイクカー」ブーム

1980年代後半から90年代前半のバブル期に、日本で「パイクカー (Pike Car)」ブームが巻き起こりました。

仕掛け役は日産自動車 <7201> 。マーチをベースとしたBe-1(1987~88年)、エスカルゴ(1989~1990年)、パオ(1989~1990年)、フィガロ(1991~92年)など、続々とパイクカーシリーズを発表しました。

パイクカーとは、既存の市販車をベースに、スタイリングに特徴をもたせた車の名称で、流行にとらわれない、「Pike=中世の兵士が用いた槍のように尖った(先鋭的な)車」を世の中に送り出すことをコンセプトにしています。

シリーズ最後の車種となったラシーン(1994~2000年)を含め、いずれのモデルも根強いファンに支持されていますが、その中で最も熱いモデルが以下のパオ(Pao)とフィガロ(Figaro)です。

3ヵ月で5万台以上売れた「パオ」

バブルの真っただ中に発売されたパオは、初代マーチをベースとするシティカー。シトロエン2CVとルノー4を足して2で割ったような、個性的なデザインが話題を呼び、3ヵ月限定の受注生産であったにも関わらず、5万台を超える注文が殺到しました。

新車は149万6000~166万3000円と、初代マーチの約1.2~2.7倍の価格でした。現在は実稼働する台数が少なく、国内で50台程度と希少価値が高いことから、中古車の相場は約19万~178万円となっています。一般的な車は、特に需要が高い場合やプレミアが付いている場合を除いて、6年以上経過すると価値が大幅に下がる傾向があります。そう考えると、パオが長期間にわたり、価値を維持している車であることが分かります。

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海外でも大人気の「フィガロ」

一方、パオと人気を二分するフィガロは、輸入車をほうふつとさせるクラッシックでエレガントなデザインが特徴。パオ同様、初代マーチをベースとする、2ドアクーペのオープンカーです。トップは電動式で開き、本革のシートなど内装もラグジュアリーで、新車時の価格は187万円と少し高めでした。

2万台が抽選販売されましたが、現在国内で中古車販売されているのはごくわずか。海外で爆発的な人気を誇るモデルであることから、その多くは海外へと輸出されているようです。特にイギリスやアメリカでの人気が高く、日本よりも見かける機会のほうが多いのではないでしょうか。

国内の中古車価格は68万~438万円、イギリスでは約4750~1万ポンド(約73万~155万円)、アメリカでは9000~4万ドル(約98万~436万円)程が相場のようです。

カワイイ中古車が令和で売れているワケ

人気が再燃している理由の一つは、最新のテクノロジーを駆使して開発された近年の車にはない、ノスタルジックなデザインや乗り心地が受けているからでしょう。そうした点は、当時のパイクカーブームを覚えている世代だけではなく、若い女性にもアピールしているようです。

いずれも排気量1000cc程度の小型車で、取り回しがよく使いやすいということもありそうです。

「乗っている人が限られている」という希少性も、大きな魅力でしょう。復刻版の販売を求める声が多数ありますが、日産は再販に消極的なようです。バブルという追い風があった当時とは異なるからです。

再販の予定がない上に、状態の良い車両やレストア(修復)されるベース車が年々減っている=在庫はどんどん減っていくため、今後はそれほど状態の良くない車両やレストア済みの車両も、価格が高騰する可能性があります。カワイイだけではなく、投資価値も期待できる点が、人気の再燃を後押ししているのかもしれません。

文・アレン琴子(オランダ在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
画像・日産自動車

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