IZ* ONEでの活動を終え、HKT48の卒業を発表した宮脇咲良の卒業コンサートが6月19日、dTVが新たに立ち上げたオンラインライブ配信「ライブ」で独占配信される。
これまで映画やドラマのアーカイブが見られることが売りだった映像サブスクサービスが、生放送、有料放送、音楽ライブ配信に力を入れ始めている。
アーカイブとしてのライブ配信は多数あった
映像サブスクサービスでの音楽ライブの配信にはいくつかパターンがある。
代表的なものは、過去のコンサート映像の配信だろう。ライブ・コンサートの映像作品の中には、バックステージの様子もあわせて収めたドキュメンタリー作品として、映画館で上映されるものや、ミュージックビデオとしてパッケージ作品が販売されているものも多数ある。
そうした過去の作品(アーカイブ)が映像サブスクサービスで配信されることは珍しくなかった。大手映像配信サービスにはミュージック・ライブといったカテゴリがあり、MV、PV、コンサートツアー映像が多数見られる。
ただ、いずれも「ライブ」といいながらも、テレビでいうところの「生放送」ではなく、あくまで過去に行われたコンサートなどの配信が主だった。
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dTVのほかABEMA、Huluなども有料ライブ配信サービス
その点、最近は、映像サブスクサービスでの配信がまさに生放送で行われる事例が増えてきている。
冒頭で紹介したdTVの新サービス「ライブ」はエイベックスが5月19日に発表した、dTVで見られる新しいサービス。有料ライブ配信ができるようになっている点が特徴だ。「宮脇咲良 HKT48 卒業コンサート ~bouquet~」の独占配信のほか、5月29日(土)にはロックバンドGLAYの「THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK LIFETIME MUSIC」も配信する。
dTVはエイベックス通信放送が運営しており、もともと音楽コンテンツの配信が充実している。最近ではBTS on dTVとして、BTS(防弾少年団)の映画やドキュメンタリー、バラエティ作品など19タイトルを独占配信している。
またNTTドコモはこれまで音楽イベントなどの生配信をスマートフォンなどからマルチアングルで視聴できる「新体感ライブCONNECT」を手掛けてきた。既に8月8日でのサービス終了が決まっているが、サザンオールスターズやTWICE、指原莉乃プロデュースのアイドル=LOVEなどのコンサートを配信してきた実績と技術がある(なおdTVはNTTドコモユーザーでなくても視聴できる)。
こうした動きを見せているのはdTVだけではない。2020年、コロナ禍の中で有料オンラインライブサービスを提供しはじめていたのがABEMAだ。「ABEMA PPV ONLINE LIVE(アベマペイパービューオンラインライブ)」として6月ごろからスタート。サザンの年越しライブを配信したほか、LDHやHYDE、日向坂などが利用している。
またHuluは5月28日、乃木坂46のアンダーライブを有料配信する。これは乃木坂46のシングル「ごめんねFingers crossed」に収録されるアンダー楽曲「錆びたコンパス」の歌唱メンバー13人によるライブだ。このライブはHulu以外のサービスでも配信が予定されている。
コロナ禍でライブができないアーティストのメリット
映像配信サービスのこうした動きはアーティスト側にとっての重要性も高い。新型コロナウイルスの感染拡大で、以前のようにライブ・コンサートが行えなくなっているからだ。
2019年の国内ライブ市場は総売上高が3665億円程度で、前年比106.3%だったという。だが2020年上半期にコロナウイルスが拡大したため、20年上半期は、19年と比べて33.9%に激減したという。
こうした中で「無観客ライブ」を配信するアーティストが次々と出てきたが、それにしても、いかに多くの視聴者に届けるかを考えると、ユーザーの多いプラットフォーム・サービスの活用は必須だろう。特に有料配信によるチケット収益のことを考えると、事業者選びは重要だ。
また一口にライブ配信サービス、映像配信事業者といっても、インフラの充実度やマルチアングルの有無など違いは多く、ユーザーにとっての使い勝手は大きく異なる。ユーザーが「つながらない」「見たいアングルで見られない」といった不満を感じれば、リピーターにはなってもらえない。
なお、映像のサブスクサービスだけでなく、音楽ライブ・コンサートに特化した配信サービスも負けてはいない。Stagecrowd、PIA LIVE STREAM、MUSER、ZAIKOなどいくつもあり、それぞれ特色を持って運営している。こうした特化型のサービスを含めて、今後は配信事業者間でのコンテンツの取り合いが激しくなるだろう。
今後のオンラインライブ拡大・浸透のカギは……
MMD研究所は、有料オンラインライブなどに関する調査で、「試しに参加したファンになる可能性がある人にどれだけアーティストに魅せられるか、特別感を感じさせられるかが今後カギ」としている。
オンラインではない、リアルのライブが以前のようにできるのがいつになるかは現時点で不透明だし、たとえリアルのライブ配信が可能になってもオンラインライブはなくならないだろう。リビングで好きなアーティストのライブが見られることのメリットは小さくない。
現状ではオンラインライブのチケット価格について、通常のライブの半額以下が相場になっている。しかしMMD研究所が「通常ライブにある席による視点で、優越感・特別感がオンラインにも今後求められ追及したのち、通常のライブと同じくらい価値を消費者が感じてくる」と指摘しているように、オンラインライブが通常ライブ(オフラインのライブ)と同じ価格帯になる可能性は十分ある。
今後は5Gの利用が広がるなど視聴環境もよくなっていくだろう。そうした新しい技術・インフラの普及とともに、音楽を楽しめる環境がより広がり、充実していくのではないだろうか。
文/編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
画像・©: Mercury / エイベックス通信放送リリースより
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