Apple WatchやFitbit、シャオミのMi Bandなどスマートウォッチの人気がここ数年急速に高まっているが、国家元首にはスイス製の高級時計の愛用者が多い。中でもやはりロレックスが定番だ。
ロレックスといえば、腕時計好きでなくても、誰もが知っている高級時計の代名詞だが、それゆえ有名人が着用すると批判の声があがることも珍しくない。最近そうした声が向けられたのは米国のジョー・バイデン大統領だ。
バイデン大統領は「デイトジャスト」を着用
2021年1月の就任式で、バイデン氏が宣誓する様子がテレビで報じられた際、映った手元に着けられていたのがロレックス製の腕時計「デイトジャスト」だった。すぐに時計愛好家からだけでなく、米国の各メディアから批判的な意見・コメントが表明された。
しかしバイデン氏が着けていたデイトジャストは、上を見ればキリがない腕時計にしては決して超高価格というほどではない。たとえばスチール製2021年新作モデルが74万3600円、上位のゴールドのタイプでも139万8100円。安くはないが、腕時計の中には数千万円するものもある。
それでも批判されたのは、必ずしも「ロレックスがいけない」ということではなく、「なぜ米国製ではないのか」という思いが批判した人たちの胸中にあったのだろう。バイデン氏は以前、オメガやセイコーのほかに、Apple Watchも着けていたというから、そうした批判者の思いも分からないではない。
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ロレックスともう一つの「大統領の腕時計」ブランド
だが、米国の大統領がロレックスを着けるのは別に珍しいことではない。前任のトランプ氏もそうだし、ケネディ、ジョンソン、レーガン各大統領も着用していた。ちなみに最初に着けたのはアイゼンハワー大統領といわれている。
とはいえ、全員がロレックス愛好家だったわけでもない。もう一つ「大統領の腕時計」とも言われるブランドがある。それもロレックスと同じスイス製のブランド「ヴァルカン」だ。1858年創業の歴史ある名門ブランドで、ことに機械式アラーム時計「クリケット」が有名。ヴァルカンはトルーマン、アイゼンハワー、ジョンソン、ニクソン各氏が愛用していたという。
歴代大統領は高級時計を目立たないように着けていた?
国のトップともなれば「格式」が求められてもおかしくない。歴史ある名門ブランドのアイテムを身につけてもいいはずだ。
だが大統領の多くが、(トランプ氏を除いて)高級時計は目立たないように着用しているようだ。
たとえばバラク・オバマ氏。立候補前はスイスのタグ・ホイヤー、大統領任期中はシークレットサービスから提供された米国のブランド「ヨーグ・グレイ」を使っていたという。これはクロノグラフが人気のブランドだが、数万円で買えるモデルもあるから、超高級とは言えない。
そんなオバマ氏も、大統領としての任期を終えた後、ロレックスの「チェリーニ」を着用しているのが目撃されている。これは最安のタイプでも160万円程度はするモデルだ。
このほかにも、クリントン、ジョージ・W・ブッシュ両氏は、米国のブランド「タイメックス」を着けていたという。両氏がつけていたモデルは分からないが、タイメックスは数千円から買える庶民的なメーカー。やはり在任中は高価格な腕時計は着けないようにする大統領が多いのだろう。
高級時計への批判はフランスでも
国家元首が高級時計を着けることへの批判は、アメリカでだけ起きているのではない。フランスの元大統領・サルコジ氏は、ロレックス「デイトナ」のクロノグラフを着用していて批判されたことがあるという。
サルコジ氏が批判されたためか、後任のオランド氏はスウォッチを着けたというし、マクロン現大統領は、フランスのブランド「LIP」製を愛用しているという。スウォッチは数千円、LIPは数万円程度から買える手ごろなブランドだ。
日本の首相はどうか?菅首相、安倍前首相の愛用腕時計は?
ところで日本ではどうだろうか。
菅首相が着けている腕時計は、報道写真などからセイコーの「クレドール シグノ」ではないかと言われている。腕時計愛好家らの推測では、最も近いと見られるのがGCRA058というモデルで、定価は44万円だそうだ。
クレドールはセイコーのラグジュアリーなモデルをそろえたシリーズ。菅首相が着けているのは、かつて秘書を務めた元通産大臣の小此木彦三郎氏から、横浜市議会議員の当選祝いとして贈られたものだという。
なお前任の安倍晋三氏は腕時計愛好家のようで、あらゆるブランドを着けていると報じられている。2016年のリオ五輪ではオメガのコンステレーションを着けていたが、普段愛用しているのは、やはり日本のブランド・セイコーだったそうだ。
ほかにもセイコー製を愛用している議員は多いようだ。セイコー製が高品質ということもあろうが、国産ブランドを着用しているということがアピールにもなるのではないだろうか。
「腕時計は政治的政策の1つ」
日本の首相や米仏の大統領のように、国内ブランドのアイテムを着ける元首もいれば、ロシアのプーチン大統領のようにパテック・フィリップなど超高級時計を多数所有、その総額は数億円とまでいわれる元首もいる。
元首が腕時計に何を選ぶかには、それぞれの好みだけでなく、国民感情や政治基盤が影響しているのではないだろうか。
スイス公共放送協会は、バイデン氏のロレックス着用が批判されたことを伝えるニュースで、「大統領にとって、腕時計は政治的政策の1つ」と指摘している。今後ニュースなどで各国の首相や大統領の姿が映ったら、どこの腕時計を着けているか確認してみると面白いかもしれない。
文/編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
画像・Rolex Webサイト
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