家計管理

【異次元の少子化対策】住民税、所得税、国保も高くなる「扶養控除の廃止」が深刻な理由

2023/06/14 07:00

児童手当を高校卒業まで延長するなど少子化対策が検討されていますが、それと引き換えに、16~18歳の「扶養控除が廃止される」という話もあるようです。扶養控除がなくなると住民税や所得税が上がるだけでなく、個人事業主は国民健康保険料も上がります。 扶養控除がなくなると住民税や所得税が上がる 扶養控除の廃止は、岸田内閣の「異次

児童手当を高校卒業まで延長するなど少子化対策が検討されていますが、それと引き換えに、16~18歳の「扶養控除が廃止される」という話もあるようです。扶養控除がなくなると住民税や所得税が上がるだけでなく、個人事業主は国民健康保険料も上がります。

扶養控除がなくなると住民税や所得税が上がる

扶養控除の廃止は、岸田内閣の「異次元の少子化対策」として挙がっている政策の一つで、もし扶養控除がなくなると、税金が高くなる見込みです。控除額は住民税が33万円、所得税が38万円です。

控除とは、「所定の額を所得から引く」仕組みなので、税金を計算する際の所得が少なくなり、結果として税金が安くなります。控除がなくなれば、所得から差し引かれなくなるため、税額は上がってしまうわけです。

たとえば、住民税の税率は基本的に10%なので、33万円の控除がなくなると、その10%にあたる年間3万3,000円が税額として増える計算になります。所得税の税率は所得額によりますが、最も低い5%でも、38万円の5%にあたる1万9,000円分、税金が増えてしまいます。

一方で、異次元の少子化対策では年間12万円給付される児童手当の所得制限の撤廃も考えられていますが、そもそも高所得者層は所得税の税率が高いため、たとえ児童手当がもらえるようになっても、増税額が上回るでしょう。

住民税非課税世帯でなくなる場合がある

扶養控除の廃止で大きな影響を受けそうなのが、住民税の非課税世帯です。扶養控除がなくなると、これまで非課税だった世帯も課税の対象になる場合があり、大学授業料の減免といった優遇措置が受けられなくなるかもしれません。

たとえば、日本学生支援機構が実施する国立大学(自宅通学)の給付奨学金では、住民税非課税世帯であれば月2万9,200円の給付を受けられますが、非課税世帯でなくなると受けられる給付は月1万9,500円に減ります。

また医療費の自己負担限度額も上がるので、持病のある人は負担増となる可能性が高いです。

国民健康保険料が上がる

扶養控除がなくなると所得が増えるため、国民健康保険料も上がります。保険料は前年の所得に応じて計算されるからです。

会社員や公務員は健康保険(組合健保、協会けんぽ、各種共済組合)に入っているので影響はありませんが、市区町村の国民健康保険に入っている個人事業主は負担が増えます。

扶養控除廃止のデメリットは大きい

高校卒業まで児童手当がもらえるのはメリットのように思えますが、住民税が非課税の世帯や高所得者層にとっては、扶養控除が廃止されると実質的に負担が増える可能性が高いです。

「異次元の少子化対策」は財源が決まっていないことから、現在検討されている政策がすべて実現するかは分かりません。今後の報道には注視しておきましょう。

文・北川真大(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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