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児童手当が「年間10万円以上」増えても「損する」のはどんな人?

2023/07/09 19:00

2024年から児童手当が増える見込みですが、その裏で扶養控除をなくす話が出ており、人によっては税金が増え、かえって損する可能性があります。損する人の年収の目安を知り、当てはまる人はどのくらい税金が増えるのか、あらかじめ知っておきましょう。 扶養控除がなくなると税金が増えるワケ 児童手当を高校卒業までもらえるようにする案

2024年から児童手当が増える見込みですが、その裏で扶養控除をなくす話が出ており、人によっては税金が増え、かえって損する可能性があります。損する人の年収の目安を知り、当てはまる人はどのくらい税金が増えるのか、あらかじめ知っておきましょう。

扶養控除がなくなると税金が増えるワケ

児童手当を高校卒業までもらえるようにする案が出ていますが、同時に高校生の扶養控除がなくなる可能性があります。

扶養控除は、家族を養っている人の所得税や住民税が安くなる制度です。

たとえば高校生の子供を養っている親は、子供一人につき所得税は38万円、住民税は33万円を所得から差し引けます。

もし高校生の扶養控除がなくなったら、毎年の所得税と住民税は以下のように増えることになります。ちなみに毎月の給与から引かれる税金に上乗せされるため、1年間で増えた分を12ヵ月で割った分だけ毎月の手取りが減ります。

たとえば、年収が400万円なら税金は5万2,000円増え、500万円を超えると7万1,000円も税金が増えてしまいます。

年収の目安 税金の増加分(1年あたり)
400万円 5万2000円
500万円 7万1000円
700万円 10万9000円
1100万円 12万400円
1400万円 15万8400円

そのため、年収が上がるほど所得税率も上がり、扶養控除がなくなったときの負担も大きくなります。

なお、扶養控除は夫婦のどちらかしか使えません。そのため、年収の目安は世帯年収ではなく、扶養控除を使うほうの親の年収です。

扶養控除がなくなって損する目安は年収1,100万円

児童手当が増えて扶養控除がなくなると、年収1,100万円以上の人は損する可能性があります。

児童手当を高校卒業まで月1万円もらうと、年間12万円です。児童手当の増加分から税金の増加分を引くと、以下のようになります。

年収の目安 児童手当の増加分−税金の増加分(1年あたり)
400万円 6万8000円
500万円 4万9000円
700万円 1万1000円
1100万円 △400円
1400万円 △3万8400円

児童手当が年間12万円増えても、税金が増えた分を引くと、家計のプラスは年収400万円なら年間6万8,000円、年収500万円なら年間4万9,000円と、意外と少ないことが分かります。

扶養控除がなくなって税金が増えても、年収1,100万円未満の多くの人にとってはプラスになりますが、税金の増加分を引くとそこまで大きなプラスにはならないため、お金の使い方に気をつけましょう。

また、年収1,100万円からは税金の負担が児童手当を上回り、家計の負担はかえって大きくなります。

2023年12月に方針が決まる予定

2024年度の税制改正の方針は、今年の12月に決まる予定です。

政府は児童手当を高校生までもらえるようにすると同時に、バランスを考えて「高校生の扶養控除」を「整理する」としているだけで、扶養控除がなくなると決まったわけではありません。

しかし過去には、子ども手当を中学生までもらえるようにしたあと、15歳以下の年少扶養控除がなくなりました。そのため、高校生の扶養控除がなくなることも十分考えられます。

今後は、児童手当だけでなく、扶養控除がどうなるかも気をつけて見ていきましょう。

なお、年収の目安は一定の条件のもと計算した結果なので、子供の人数やその他の条件によっては変わることがあります。詳しくは税理士などの専門家にご確認ください。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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