親が高齢の場合、ある日突然介護が始まるかもしれない。親の介護が始まった場合、どれくらいの費用がかかるのだろうか。また、親の年金や貯金が少ないのなら、介護費用の負担を軽くできる制度を使ってみてもいいだろう。
介護にはどのくらいお金が必要?
介護の出費は平均で毎月8万3000円かかるという(生命保険文化センター)。1年で100万円近くもかかるのだ。「介護保険」制度があるが、これで足りるものなのだろうか。
9割の人が介護サービスの負担割合は1割
介護が必要になり、介護保険で認定(要支援1・2、要介護1・2・3・4・5)を受けると介護サービスが使える。
75歳以上で要介護の認定を受けた人の割合は2割を超えている。
自己負担の割合は収入によって1割~3割と異なるが、全体の9割の人は1割負担で使っている。
しかし支払限度額を超える分や対象外の支出は自己負担で、介護用の住宅リフォームや介護用ベッドの購入に平均74万円ほどかかる。
介護施設に入るときも、入所のための一時金が必要だ。施設によっては100万円や1000万円かかるケースもあり、まとまった額の備えが必要だといえる。
年金で足りるのか?
年金の受給額は月の平均で、国民年金が5万6000円、厚生年金:14万4000円となる(厚生労働省)。
あくまで平均なので、自分がいくらくらいもらえそうか、こちらも確認しておくとよいだろう。
誕生月に届く「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で見込み額が分かる。
特に厚生年金は給与の額や勤続年数(加入月数)により年金額が変わるので、しっかり見通しを立てておきたい。
親のお金が少ないとき使える「介護のお金」が安くなる制度
親の年金や貯金だけでは介護費用が足りない場合、子供である自分が負担しようと考えるかもしれないが、それでは自分自身の生活や老後に影響しかねない。介護費用の負担を軽くできる制度には、どのようなものがあるだろうか。
1ヵ月の上限額を超えた分が払い戻される──高額介護サービス費
高額介護サービス費は、介護サービスを利用して1ヵ月間に支払った自己負担が上限額を超えると、超えた分が払い戻される制度だ。
上限額は世帯の年収(実際には課税所得)に応じて決まり、たとえば、世帯年収がおよそ770万円未満なら、上限額は4万4,000円(住民税が非課税の人がいない世帯)。
全世帯の平均年収は552万円(2019年。国民生活基礎調査)なので、多くの人がこの額が上限だろう。
限度額4万4,000円の人が介護費用に5万円使った場合、6,000円戻ってくるという計算だ。
実際に払い戻しを受けるときは、市区町村の窓口に申請用紙を提出する必要がある。
申請には期限があり、介護サービス費を利用した翌月の1日から数えて2年以内だ。期限を過ぎてしまうと申請できなくなるので注意してほしい。
介護費用の4分の1が軽減される──社会福祉法人による軽減制度
社会福祉法人による軽減制度もある。
社会福祉法人は全国におよそ2万法人あり、一部の社会福祉法人が運営する介護施設では軽減制度を用意している。
具体的には、住民税の非課税世帯など、いくつかの要件を満たす場合、利用者負担の4分の1(老齢福祉年金受給者は2分の1)を軽減する。
具体的に軽減される費用は、訪問介護・通所介護・介護福祉施設サービスなどにかかる介護費や食費、宿泊費、居住費だ。サービスを利用する際に、軽減確認証を提示すれば、支払う額が安くなる仕組みだ。
該当する社会福祉法人や申請方法は、都道府県や市区町村のWebサイトで確かめられる。
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親のお金が少ないとき使える「介護のお金」が安くなる制度3選
文/編集・dメニューマネー編集部
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