連載　お金で買えないものはない？「恋愛×マネー」研究　第8回

恋愛におけるさまざまなシーンを題材にし、マネー・お金を軸にした見方・考え方を検証する本連載。物心両面で満ち足りた、自分の理想の暮らしを手にするための戦略を考察していきます。

前回（第7回）は、離婚する際の「財産分与」について解説しました。今回（第8回）は、お金で恋愛を買う典型例とも言える「パパ活」について──。

「月200万円を稼いだ」というパパ活女子

パパ活とは一般的に、若い女性が金銭や物品の受領を対価として、歳上の男性とデートをすることです。このような活動は以前からありましたが、パパ活という言葉自体は、ここ数年で急速に認知が広がりました。経済的対価によって結ばれている関係ですので、男性側から見ると、お金で「若い女性とのデートを買っている」ということになります。

筆者は仕事柄、パパ側・娘（業界用語ではPJ＝パパ活女子と呼ばれています）側を問わず、多くのパパ活プレイヤーと接する機会があります。近年は、コロナ禍における株高や助成金・融資制度の拡充などによって、パパ側のメインプレイヤーとなる富裕層の資産は増加傾向にあり、パパ側の懐が潤っている影響から、「パパ活リッチ」とも呼べる高収入PJが多く出現しているようです。

例えば先日、「パパ活で月200万円を稼いだ」というPJ（自称24歳）の話を聞く機会に恵まれました。あくまで本人談ですが、誕生日の月だったこともあり、複数のパパから1ヵ月で現金約70万円、約130万円相当の贈答品を得たというのです。誕生日プレゼントとして、高価なプレゼントを複数もらったことが収入を大きく押し上げたようです。

多くの場合は贈与税の対象　目安は110万円を越えているか

月200万円といえば、この世の大半のビジネスマンの月収より高いのではないでしょうか。誕生日月という特需であったため、同じ月収が今後も続くとは思えませんが、それでも1年間パパ活を続ければ、多くのビジネスマンの年収より高くなるはずです。

ビジネスマンの収入には同然税金がかかります。それでは、パパ活で稼いだ収入の税金はどうなるのでしょうか。

以下、一般論にはなりますが考察してみます。

多くのPJの場合、適用される税区分は「贈与税」でしょう。ご存知の通り、贈与は年間110万円までであれば、贈与税がかかりません。そして、国税庁ホームページには「社会通念上相当と認められるお祝いに関するプレゼントは非課税（筆者意訳）」と記載されています。

どこまでを「社会通念上相当」であるかは議論の余地がありますが、誕生日に高価なバックやジュエリーを贈ることは、そこまで珍しいことではありません。しかし、総額100万円を超えるプレゼントを毎月のように受け取っている場合は、「社会通念上相当」と言い張るのは難しいでしょう。

さらに問題は、通常のデートの対価として物品や現金を受け取っている場合です。これらは、「贈与税の対象となる贈与」と捉えるべきでしょう。これらの総額が年間110万円超であれば、贈与税が発生します。

贈与税は原則として、財産を受け取った翌年の確定申告時期に納税します。したがって、受け取った財産をすべて使ってしまうと、納税資金が足りないということにもなりかねませんので注意しましょう。

レアケースであるが、事業所得と見なされる可能性もあり

大半のパパ活の場合、適用される税区分は「贈与税」であるはずですが、PJのなかには、パパ活で生計を立てているプロのPJ（略してPPJ）がいるかもしれません。そのような場合は、事業所得と見なされて、「所得税」として総合課税での申告が求められる可能性はあります。

いずれにせよ、パパ活と言えども、一定以上の収入（贈与）があるのであれば、確定申告による納税が必要です。パパ活の対価を手渡しで受け取っている場合、「証拠が残りづらいのでバレにくい」というのはその通りだと思いますが、意図的な所得隠しは違法行為です。

世のパパたちは、娘たちが正しく納税するように指導してあげて下さい。なお、本稿は一般的な税務観点から執筆しています。詳細は税理士などの専門家に確認して下さい。

文・元証券マンの恋愛相談所長K
編集・dメニューマネー編集部

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