【連載】日経平均ってなんだろう? 1分解説 第12回
日経平均は定期的に構成銘柄の入れ替えを行っています。前回(第11回)は36業種を6つに分類して選定していること、そのなかでキーエンス <6861> 、村田製作所 <6981> が新たに採用された「技術」セクターについて解説しました。今回はその他の5セクター、「金融」「消費」「素材」「運輸・公共」「資本財・その他」についてみていきましょう(企業数や構成銘柄情報は2021年9月16日現在)。
9月6日の定期入れ替えで任天堂などが採用
「金融」は、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、野村ホールディングス <8604> 、東京海上ホールディングス <8766> 、日本取引所グループ <8697> など業界大手21社で構成されています。
「消費」は、ファーストリテイリング <9983> やJT <2914> など34社。「素材」は、三菱商事 <8058> 、日本製鉄 <5401> 、ブリヂストン <5108> 、富士フイルムホールディングス <4901> など57社。
「運輸・公共」は、東日本旅客鉄道 <9020> 、日本郵船 <9101> 、東京電力ホールディングス <9501> など20社。「資本財・その他」は、大成建設 <1801> 、小松製作所 <6301> 、ダイキン工業 <6367> 、三井不動産 <8801> など35社で構成されています。
さて、9月6日に発表された定期入れ替えでは、「技術」セクターで2銘柄が入れ替えられました。また「消費」セクターで新たに任天堂 <7974> が採用された一方で、「素材」セクターから東洋製罐グループホールディングス <5901> が除外されました。
「旧大証銘柄は採用されない」といったアノマリーは完全に払しょく
実は今回の定期入れ替えで、市場関係者の間で長らく語られてきた「アノマリー」が払しょくされました。それは「日経平均の構成銘柄には、旧大証銘柄は組み入れられない」というものです。
「旧大証銘柄」とは、東京証券取引所と大阪証券取引所 (大証。現在の大阪取引所)が合併する前に、「大証をメイン市場としていた企業」のことです。大企業が多いので、東証と大証の両方に上場していた銘柄の中でも、関西圏の企業などで大証での取引が中心だった銘柄はそう呼ばれていました。
今回新たに採用されたキーエンス <6861> 、村田製作所 <6981> 、任天堂 <7974> の3銘柄もまさにその「大証銘柄」です。
そもそも日経平均は流動性の高い上位銘柄から選定されます。この3企業はいずれも株式投資をしていない人でも知っている日本を代表する大企業であり、流動性も高かった。それなのに日経平均の構成銘柄に採用されていなかったため、市場では「旧大証銘柄だから」といわれてきたわけです。
東証と大証の統合は2013年で、それから6年後の2019年3月には、パイオニアが上場廃止されたために臨時銘柄入れ替えが行われ、大証銘柄とされたオムロン <6645> が新たに採用されています。これが旧大証銘柄から日経平均に採用された初めてのケースですが、あくまで臨時入れ替えでしたし、それ以外には実績がありませんでした。
今回は「定期入れ替え」で旧大証銘柄が採用されたため、アノマリーは完全に払しょくされた格好です。
文・村瀬智一 (RAKAN RICERCAアナリスト)
編集・濱田 優 (dメニューマネー編集長)
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