ひとり暮らしの人の中には今後、結婚する人もいると思うが、おひとりさまの老後を迎える人もいるだろう。調査によると単身世帯の貯金額は少ない傾向にあるようだが、貯蓄100万円未満の人はどれくらいいるのか。また、おひとりさまの老後を迎えるとしたら生活費や貯蓄はいくら必要なのか?
単身世帯53.4%が貯蓄100万円未満
単身世帯で、貯蓄額100万円未満の人は何割いるのか?また、貯蓄が少ない背景にはどんな要因があるのだろう。官民2つの調査結果をもとに貯蓄100万円未満の割合を紹介。その背景にある「貯蓄が少ない要因」についてもチェックしてみた。
単身世帯の53.4%が貯蓄100万円未満!その要因は?
「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」によれば、単身世帯の全回答者中、貯蓄ゼロを含む貯蓄100万円未満世帯の割合は53.4%。これは2人以上世帯の貯蓄100万円未満率(22.2%)の約2倍だ。
また、「家計の資産と負債のバランスの評価」についての質問に対しては、単身世帯の約81%が「意識したことがない」と回答。2人以上世帯で同じ回答をした人の割合(60.6%)よりも2割以上多くなっている。
これらの結果から、単身世帯の大半を含む貯蓄100万円未満世帯の多くが、家計の資産や負債を把握していないことが分かった。
現在の資産と負債がわからなければ貯蓄のプランも立てられない。そのことが、十分な貯蓄ができない一つの要因となっているようだ。
4割以上が貯蓄100万円未満!その背景には何が
一方、PayPay銀行による「コロナ禍のキャッシュレス決済利用と預貯金」に関する意識・実態調査によれば、貯蓄100万円未満の割合は全体の43.2%だった。
この調査では「キャッシュレスを利用していない人ほど貯蓄100万円未満の割合が高い」との気になる結果も出ている。
貯蓄額とキャッシュレス決済との相関関係を探る調査において、貯蓄ゼロを除く貯蓄100万円未満の回答者のみ現金派(58.9%)がキャッシュレス派(34.4%)を大きく上回っているのだ。
お金の知識やスキルを持つことは、貯蓄を増やす上で役に立つ。そのような知識やスキルに乏しい人ほど貯蓄が少ない傾向にあることが、この調査結果からうかがえる。
おひとりさま老後に備えよう!生活費や貯蓄はいくら必要か
一人暮らしの世帯の割合は、過去20年間で最も高い38.0%となっている(2020年国勢調査)。未婚の割合も男性が34.6%、女性が24.8%で高くなっており、今後も単身世帯が増えると予想される。このような状況下で、特に単身の女性が老後に備えるためには、いくら貯蓄を用意しなければならないのか?
毎月の生活費はいくら必要?平均は約13万円
老後、65歳以上になると生活費はどのくらいかかるのだろう?
月の平均消費支出額を見ると、13万3,146円となる(2020年家計調査報告)。しかし、この調査における月平均の住居費は1万2,392円と低くなっており、賃貸ではなく持ち家に住んでいる人が多いと考えられる。
つまり賃貸物件で生活をする人は、13万3146円だけではなく、さらに家賃分を加えて計算する必要がある。
年金はいくらもらえる?
老後の収入といえば年金を思い浮かべると思うが、加入していた年金によって受け取る年金や額が変わってくる。
たとえば、国民年金に加入していた人は受け取るのは老齢基礎年金となる。厚生年金や共済年金に加入していた人は、老齢基礎年金と老齢厚生年金または退職共済年金となる。
厚生年金の平均月額は、老齢基礎年金込みで14万4,366円だった(2021年厚生労働省年金局発表)。
さらに女性だけを見ると、平均月額は65歳以上で10万9,205円。国民年金のみの場合は5万6,252円となる。
支出が13万円なのに、年金は5万円か10万円程度で、足らないことが分かった。
少なくとも660万円の貯蓄が必要!
女性の平均寿命は87.74歳。65歳から年金を受け取り、平均寿命の88歳までで計算してみよう。
毎月の不足額が22年間でどれくらいになるかというと、厚生年金がある女性では、少なくとも660万円ほど足りない。国民年金のみの女性は2,120万円も足りないこととなる。不足分を貯蓄しておく必要があるわけだ。
今後、年金額が減る可能性や毎月の家賃、入院、冠婚葬祭、趣味への支出などを考えると、さらに多くの貯蓄が必要といえよう。
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おひとりさま老後に備えよう!生活費や貯蓄はいくら必要か
文/編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月13日公開記事)