資産としての「クルマ」自動車投資のすすめ 第6回
多くの人はクルマのことを「贅沢な消費物」と捉えて、通常の資産運用(投資)とは切り離して考えがちです。しかし、クルマは資産の一部であり、お得に乗るためには、クルマを投資対象とみなす自動車投資(カーインベストメント)の視点が重要です。本連載では、クルマについて通常とは異なる視点から考えていきたいと思います。
3000万円のフェラーリと600万円のベンツはどちらが安い?
この連載の第2回で「3000万円のフェラーリと600万円のベンツはどちらが安いか?」という話をしました。比較的キャッチーな記事タイトルだったこともあり、多くの人に読んでいただけたようです。
3000万円のフェラーリと600万円のベンツであれば、後者のほうが安いことは言うまでもありません。しかし、以下のような条件が加わったらどうでしょうか?
・3年使った後、3000万円で買ったフェラーリは2700万円で売れた
・3年使った後、600万円で買ったベンツは200万円で売れた
保有中のランニングコストなどを考慮しなければ、
・フェラーリは実質的に3年間、3000万円−2700万円=300万円で乗れた
・ベンツは実質的に3年間、600万円−200万円=400万円で乗れた
ことになります。こう考えると、「3000万円のフェラーリのほうが安い」と言えなくもありません。
リセールバリューが高いクルマの3つの特徴
つまり、クルマをお得に乗りこなすためには、「いくらで売れるか(リセールバリュー)」が重要ということです。限られた車種に限定されますが、クルマによっては、買値よりもリセールバリューが上昇し、値上がり益を取れる場合もあります。
それでは、リセールバリューが高いクルマにはどのような特徴があるのでしょうか。あくまで一般論ではありますが、以下にまとめてみましたので、今後の愛車購入の参考にしてください。
1 供給量が少ない
モノの値段は需要と供給で決まります。そのため、供給量が少ないクルマは、リセールバリューが保たれやすいと言えます。
高級車の多くは、供給量を絞ってブランド力を保っていますが、なかでもリセールバリューが保たれやすいと言われているのがフェラーリです。フェラーリは世界全体でも毎年1万台前後しか製造しておらず、世界中のお金持ちの数に比べて圧倒的に供給不足です。そのため、中古市場での取引が活発になるというわけです。
高級車のなかでも、ベンツやBMWの比較的庶民が手を出しやすい価格帯(500万〜800万円くらい)のモデルは、供給量が多いので、値崩れしやすいと言われています。
2 SUVである
SUVとは、Sport Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の略で、日本語に訳すと「スポーツ用多目的車」です。その言葉の通り、子供の送迎や買い物などの日常生活はもちろん、アウトドアで荷物をたくさん積む必要があるときなど、多岐に活躍します。日本ではほとんど機会がないと思いますが、整備されていない道路の走行にも適しています。
近年、自動車業界ではSUVブームが続いています。30〜40代といった子育て世代では、むしろ「2ドアタイプや通常のセダンよりもSUVのほうがかっこいい」という意識も高まっているようです(あくまで筆者の感覚です)。
特にSUVでリセールバリューが保たれやすいのは、ポルシェのカイエンやベンツのGクラスといった1,000万円超えのSUVです。もちろん比較的庶民が手を出しやすいブランドのクルマでも、SUVは相対的リセールバリューが保たれやすいと言われていますので、クルマ選びの参考にするとよいでしょう。
3 万人ウケしやすいボディカラー
意外と盲点なのがボディカラーです。基本的には、ホワイト系やブラック系、シルバー系といったモノトーンカラーがよいと言われています。これは中古市場で購入する人の気持ちを考えると理解しやすいでしょう。確率論的に、ピンクや紫といった派手なボディカラーを望む人は少ないはずです。
ただ、クルマ(ブランドや車種)にはイメージカラーがあります。たとえば、フェラーリといったら、多くの人が「赤(真っ赤)」を思い浮かべるのではないでしょうか。
たとえ派手な色だとしても、イメージカラーに合っているならば、それはそれで、一つの選択肢です。購入したいクルマが決まったら、「そのクルマはどのような色が多いのか」「このブランドを聞いて人々は何色を思い浮かべるのか」を考えるとよいでしょう。
リセールバリューを考えることが自動車投資の要諦
このように、リセールバリューを考えることが自動車投資(カーインベストメント)の要諦です。リセールバリューを考えすぎて、自分の好みではないクルマを買うのは考えものですが、一つの検討材料にしながら、次の愛車を選んでみてはいかがでしょうか。
文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月13日公開記事)