親が亡くなり相続を放棄したにも関わらず、高額のお金を請求されるケースがある。相続については、親の生前にしっかりと話しておく必要があるが、どんな場合、相続を放棄したのに高額のお金を請求されることがあるのだろうか?また、親に相続の話をスムーズに切り出す方法は何かないのか?親の生前にやるべきことと一緒に見てみよう。
知らないと困る話1 「相続放棄」したのに逆にお金がかかるケース
相続を放棄したにも関わらず、高額な費用がかかることがある。相続放棄すれば相続に関わらずに済むと考えがちだが、実はそうとは限らない。「親族とのトラブルに巻き込まれたくない」「田舎の土地をもらっても困るだけ」など、将来相続放棄するつもりなら要注意だ。遺産を放棄してもらわないなら、費用は自分で用意しなければならない。
相続放棄したら賠償請求された!どんなケース?
相続放棄した実家を放置した結果、倒壊などで周りの家や他人に被害が出ると、損害賠償を請求されることがある。
相続放棄した遺産の新たな管理者が決まるまでは、相続放棄した人に管理責任があることが法律(民法第940条)で決まっているからだ。
自分が相続放棄しても、他に相続する人がいるならその人が管理者になるので問題ないが、誰も相続人がいないなら、放棄した後も自分が遺産を管理しなければならない。
知らないと困る話2 話しづらい「相続の話」を切り出すコツ
親が元気なうちに相続の話をしておくことは大切だが、いきなり遺産の話を切り出すのは、なかなか難しいものだ。自然に話を切り出すためのコツがある。
自分が抱いている不安を話してみる
まずは率直に、親が亡くなった後の不安を相談するという方法がある。
たとえば「遺産を相続したあとに相続税がちゃんと払えるか心配」「相続のことで兄弟と仲が悪くならないか不安」などと伝え、親と共に解決策を考えるのだ。
このとき家の評価額や予想される相続税の額を調べて具体的に数字で示すと、現実味を帯びてより真剣に考えてくれるかもしれない。
話だけだと聞き流されてしまう可能性もあるので、紙に書いて「見える化」するのもよいだろう。
自分自身の将来の話を切り出す
親の遺産の話ではなく、あくまで子供である自分の将来について話すという方法だ。
自分の子供(つまり孫)の進学や、自分の転職・退職後のプランなどの人生設計について持ち出すといい。
いくつになっても親にとっても子供は子供。相続の話は親本人の人生の終方の話ではあるが、子供にとっても大きく影響する。そこに思いいたれば、前向きに話題にしてくれるかもしれない。
たとえば「退職をきっかけに今後の人生について見直したいので、相続のことも含めて話し合いたい」など、ストレートに話してみてもいいだろう。
この際、人生の終末について記す「エンディングノート」を活用するのもいい。
自分のエンディングノートを親に見せ、「自分のこれからを考えるために作成した」と話したうえで、親にもノート作成をすすめるのだ。
知らないと困る話3 「親の生前にやっておくべきこと」
銀行の窓口では亡くなった人の預金口座をめぐり、「出せ」「出せません」という押し問答がしばしば繰り広げられている。預金名義人の死亡を知れば、銀行は即座に口座を凍結する。もし、親族が亡くなったとき、口座はどうなるのだろうか。事前にどのような対策が必要なのか?
「相続」を「争族」にしないためにしておくべきこと
現在は凍結口座から預金の一部を払い出すことは認められている。しかし、こうした事態に陥らないよう、相続の準備をしておく必要がある。
まず一つめは、相続財産の分割方法を明確にしておくこと。遺言書の作成が望ましい。
次に相続人の当面の生活費や納税資金を確保しておくことだ。生命保険を利用すれば死亡保険金は保険金受取人の請求により速やかに支払われるので、すぐに現金を確保できる。
最後に、相続財産の評価を把握しておくこと。そもそもどれだけの相続税が課税されるかを知らなければ対策ができない。
相続準備というと、節税に目が行きがち。相続はお金持ちだけの問題ではない。むしろ、無関心な人ほど「相続」が「争族」へと発展することが多い。
「相続」を「争族」にしないポイント。それはいかに渡すか。そして、いかに分けるかだ。事前に相続について話し合っておくことが最大の相続準備といえよう。
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銀行員が教える親の生前にやっておくべき3つのこと
文/編集・dメニューマネー編集部
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