【連載】日経平均ってなんだろう?1分解説 第3回
連載では、日経平均について理解するために、「日経平均はなぜ大事なのか?」、そして「日経平均とTOPIXは何がどう違うのか」というテーマについて考えてきました。今回は為替や金利との関係について考えます。
第3回日経平均と為替・金利の関係とは?
日経平均株価は、為替や金利の影響を受けます。これは日経平均が「東証1部上場企業から選抜された日本を代表する225銘柄であること」に関連しています。
まず「為替」の影響について考えてみましょう。株価は「その企業に対する将来への期待と不安」を表しています。そして、日本の大企業には、輸出企業が多いのはご存じのとおりです。
例えばトヨタ自動車 <7203> は1円の円高が、営業利益ベースで約400億円もの押し下げ要因になると言われています。そのため、「為替が円高になりそうだ」という見方が高まると、「業績が悪くなるのでは?」との考えが浮上し、株価が下がることがあります。反対に円安の場合は、「業績が良くなるのでは」という期待が高まります。
さらにいえば、これはトヨタ1社だけの話ではありません。というのも、トヨタの事業に関連する企業は、全国で3万8000社超との調査もあります。為替変動によるトヨタの業績への影響は、日本経済に影響を及ぼす可能性があるのです。
また、為替は世界の経済状況や政治要因の影響を大きく受けます。日本の「円」は、相対的に安全な通貨として市場では認識されているため、世界情勢が悪化した場合にはリスク回避から円を買う動き(「有事の円高」)が見られることもあります。
また、大きな為替の変動は日本の売買シェアの過半数を占めている海外投資家の取引にも影響します。海外投資家はドルなどの通貨を円に両替して株式を取得しますので、自国通貨が高く円安の時に割安感のある株式などを取得します。そのため、海外投資家の資金流入を促すために政府は円安誘導を行うことがあります。
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金利はどう日経平均に影響するのか
次に、日経平均株価がどう「金利」の影響を受けるのか見てみましょう。
金利は基本的に、景気が良くなる時に上がります。景気がいい時は企業が高い金利を払っても、それ以上の利益を上げられます。企業は金利を払ってお金を借りてでも、積極的に設備投資などをして、さらに成長を目指すでしょう。そうした期待が高まれば、日経平均株価も上昇に向かうでしょう。
しかし、金利の上昇は企業の投資、ひいては日経平均にとってマイナスにも作用します。
たとえば株式運用を行うヘッジファンドなどは銀行から大量の資金を借りて投資します。金利が上がると当然コストも高くなるため、投資を手控える可能性があります。
また、金利上昇によって住宅ローン金利なども上昇します。すると家を買おうという人は減るでしょう。家に限らず、お金を借りて大きな買い物をしようという意欲は下がっていきます。すると、企業業績の先行きが悪くなるという警戒感が高まり、全体指標である日経平均が下がることがあります。
景気の先行きが不安定になると金利は下がります。企業が設備投資を控え、お金の需要(借り手)が減るからです。企業の成長が鈍くなれば、給与なども伸びず、消費者の購買意欲も減ります。企業業績の先行きが不安なものになれば、日経平均が下がる可能性があります。
つまり、景気の回復時には金利は上昇し、景気が過熱気味となると高い金利により投資は控えられはじめ、景気は後退していきます。すると資金需要は減り、金利も低下に向かいます。このような景気サイクルを繰り返すなか、日経平均はこの動きを常に察知する形で先回り的に動く傾向があります。
ニュースでは日経平均だけでなく為替レートや金利にも注意しよう
このように、為替や金利は日経平均に大きく影響します。経済ニュースでは日経平均とともに為替レートが紹介されますし、金利が大きく上下すればそれもニュースになります。
日経平均の上下だけでなく、為替や金利の動向もあわせて注視しておくと、先行きを見通すための目が養われるのではないでしょうか。
文・村瀬智一(RAKAN RICERCAアナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
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