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「バツイチ再婚」に潜むリスク 知らない人に財産を奪われる?【連載・第3回】

2021/12/25 12:00

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連載 お金で買えないものはない?「恋愛×マネー」研究 本連載では、恋愛におけるさまざまなシーンを題材にし、マネー・お金を軸にした見方・考え方を検証。物心両面で満ち足りた、自分の理想の暮らしを手にするための戦略を考察していきます。 前回(第2回)は、「離婚」がもらたす経済的損失について解説しました。今回(第3回)は、連れ

連載 お金で買えないものはない?「恋愛×マネー」研究

本連載では、恋愛におけるさまざまなシーンを題材にし、マネー・お金を軸にした見方・考え方を検証。物心両面で満ち足りた、自分の理想の暮らしを手にするための戦略を考察していきます。

前回(第2回)は、「離婚」がもらたす経済的損失について解説しました。今回(第3回)は、連れ子がいる人の「再婚」について──。

「バツイチ再婚」の注意点

「3組に1組が離婚する」と言われている昨今、離婚は珍しいライフイベントではありません。離婚する人が多いということは、再婚する人も以前よりは増えているはずです。

「一緒に暮らしたい」と思える人と再び巡り会えるのは素晴らしいことですが、マネーを軸にした観点から考えると、片方もしくは双方に子どもがいる場合は要注意です。以下のAさんの事例で考えていきましょう。

Aさん(50歳男性)

・20代前半で結婚し、一児を授かるも数年後に離婚。
・子どもの親権は元配偶者に渡し、以後、養育費を払い続けてきた。
・子どもは成人し、養育費の支払いは完了。
・元配偶者と子どもには20年以上会っていない。今後も関係を持つ予定はない。
・シングルライフを謳歌していたが、あるきっかけでBさん(40歳女性)と出会い、お互い惹かれ合う。
・Bさんとは1年以上交際し、再婚も真剣に考えている。
・Bさんの娘さんとは血縁関係はないが、本当の子どものように育てていきたい。

続いて、Bさんのプロフィールを見ていきましょう。

Bさん(40歳女性)

・離婚歴あり
・元配偶者の間に生まれた娘1人(5歳)を育てるシングルマザー。
・娘もAさんによく懐いており、再婚したら専業主婦になる予定。

お互いに離婚歴がある、いわゆる「バツイチ再婚」を検討中です。再婚した場合、どのような注意点があるでしょうか。なお便宜上、AさんもBさんも親族は1人もいないとします。

会ったこともない子どもに財産を奪われる!?

ずばり、Aさんの相続時に大きなトラブルが発生する可能性があります。縁起でもないですが、再婚してすぐにAさんが事故や病気で急に亡くなってしまった場合は、Aさんの財産は以下のように配分することになります。

相続人 法定相続分
再婚相手のBさん 財産の1/2
20年以上会っていないAさんの子ども 財産の1/2
同居しているBさんの娘 相続分なし
Aさんの元配偶者 相続分なし

これは民法第九百条に定められた「法定相続分」という法律に則った遺産分割です。いまAさんが亡くなると、配偶者であるBさんは財産の半分を相続できますが、もう半分は何とBさんは会ったこともない「Aさんの子ども」に渡ってしまうのです。

一方で、同居しているBさんの娘は1円も受け取れません。なお、Aさんの元配偶者は、既に婚姻関係が解消しているので、こちらも財産を受け取る権利はありません。

Bさんが専業主婦になっていた場合、復職は簡単ではないでしょう。そのうえで今後の生活費や娘の教育費に充てたかったAさんの財産の半分を持っていかれるとなると、一気に生活が困窮するリスクがあります。

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Aさんは何をすべきなのか?

このような事態を避けるため、Aさんが対策すべきことは2つあります。

(1) 同居しているBさんの娘と養子縁組を結んで、法律上の親子になる
(2) 「財産は原則として全てBさんとBさんの娘さんに継がせる」と遺言を書く

実は、再婚相手に連れ子がいる場合、養子縁組を結ばない限り、再婚しても連れ子とは法律上の親子関係になりません。法律上の親子関係にないと法定相続分はありません。したがって、先程の表で、Bさんの娘は配分がゼロだったのです。

AさんとBさんの娘が養子縁組を結ぶと、法定相続分は以下のように変化します。Aさんの子どもの取り分が低下し、Bさんの娘にも配分されるようになりました。

相続人 法定相続分
再婚相手のBさん 財産の1/2
20年以上会っていないAさんの子ども 財産の1/4
同居しているBさんの娘 財産の1/4
Aさんの元配偶者 相続分なし

ただ、これでも財産の1/4をAさんの子どもに持っていかれてしまいます。Aさんの子どもに1円も渡さない方法はないのでしょうか。

残念ながら、Aさんの子どもから、Aさんの財産を相続する権利を消滅させることはできません。しかし、できる限りその額を減らすことはできます。その方法が、(2) 「財産は原則として全てBさんとBさんの娘さんに継がせる」と遺言を書くことです。

「原則として」というのは、Aさんの子どもには必ず財産を相続できる最低割合(遺留分)があるので、その分は諦めて、遺留分を除く金額をBさんとBさんの娘に渡すという意味です。Aさんの子どもの遺留分は以下の通りです。

AさんとBさんの娘の養子縁組 Aさんの子どもの遺留分
結んでいない 財産の1/4
結んでいる 財産の1/8

Aさんの子どもの遺留分を低下させるという意味でも、養子縁組は効果を発揮しています。(1)と(2)の対策を打つことで、Aさんの子どもに持っていかれる相続割合を半分から1/8まで低下させることができました。

トラブルのもとが残っていないか十分に確認したい

離婚や再婚が一般的ではなかった時代に相続の法律が作られており、その法律を今の時代でも無理やり使っているので、上記のような事例が発生してしまいます。

愛する人と結婚して一緒に暮らすことは素晴らしいことです。一方で大きな決断をする前に、このようなトラブルのもとが残っていないか、十分に確認したいところです。

執筆・元証券マンの恋愛相談所長K
編集・dメニューマネー編集部

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