厚生年金を25万円以上もらえると老後の生活はかなりラクになるだろう。厚生年金を増やすためには現役時代からどんなことに気をつけて仕事をすればいいのか?また、年金受給者の国民年金や厚生年金の平均受給額も知りたいところだ。
「厚生年金」を増やす3つの方法──月25万円も可能
厚生年金の受取額には大きな差がある。平均は月14万円だが、中には月25万円以上受け取る人も。厚生年金の受取額に差が生まれる理由と、受取額を増やす方法を見ていこう。
年収を上げる
昇給すると、給与から天引きされる厚生年金保険料が増える。しかしその分、将来受け取れる厚生年金の額も増える。年金を増やしたいのなら、年収を上げるのが近道といえよう。
ただし、注意点がある。
厚生年金保険料や厚生年金の受取額は、平均標準報酬額を元に決まる。平均標準報酬額とは、働いていた全期間を通じての平均月収(賞与を含む)だ。平均標準報酬額は、月収63万5,000円、賞与150万円が上限となる。
すでに上限に達している人は、年収を上げても年金額には反映されない可能性が高いといえる。
※賞与が含まれるのは平成15年4月以後の被保険者期間から。それ以前は平均標準報酬月額と呼称。
60歳以降も働く
60歳以降も働いて厚生年金に加入し続けることで、加入月数が増え年金額も増加する。
ただし、60歳以降は給与水準も下がることが多く、働いた時間の割には年金額が増えないと感じるケースも。例えば、月収20万円で5年間働いたとしても、年金の増加額は月5,700円ほどだ。
繰り下げ受給をする
年金の受取は通常65歳からだが、受給を先延ばしにする「繰り下げ受給」によって、毎月の年金額を増やすことができる。受給を繰り下げた場合の増額率は次の通り。
請求時の年齢 | 増額率 |
---|---|
66歳~66歳11ヵ月 | 8.4%~16.1% |
67歳~67歳11ヵ月 | 16.8%~24.5% |
68歳~68歳11ヵ月 | 25.2%~32.9% |
69歳~69歳11ヵ月 | 33.6%~41.3% |
70歳~ | 42.00% |
年金月25万円は狭き門だが不可能ではない
給与の標準報酬月額の上限は、2020年に改定され、上限額が60万5,000円から63万5,000円に上がった。上限が引き上げられると、年収アップによって年金を増やしやすくなる。今後も、標準報酬月額の上限が上がる可能性は十分にある。
年金月25万円は狭き門だが、不可能ではない。現役時代に年収アップに励むことが、年金を増やす一番の近道といえそうだ。あわせて、働く期間を延長することや、繰り下げ受給も検討しよう。
「年金を30万円以上」もらっている人はどれくらい?国民年金・厚生年金の平均額はいくら?
国民年金や厚生年金の受給額は、納付期間や納付額によって個人個人で異なってくる。一方、日本全体では高齢者は1人平均でいくらぐらい受給しているのだろうか。厚生労働省年金局のデータを参照にすれば傾向が分かる。
国民年金の平均月額で一番のボリュームゾーンは?
厚生労働省年金局は「厚生年金保険・国民年金事業の概況」という資料を毎年発表している。その最新版である令和2年度版(2020年度版)が2021年12月に公表されているので、早速そのデータを参照していこう。
まずは国民年金から。なお、このデータでは月額別の「受給権者数」が提示されている。受給権者とは、年金などの給付を受ける権利を有する者のことで、正確には実際の「受給者数」ではない。しかし、どの受給額のボリュームゾーンとしてどの金額が最も多いか調べるときは、十分に参考になる。
国民年金の月額別受給権者数 | ||
---|---|---|
年金月額 | 人数 | |
〜1万円 | 7万4554人 | |
1万〜2万円 | 29万3600人 | |
2万〜3万円 | 92万8755人 | |
3万〜4万円 | 284万2021人 | |
4万〜5万円 | 466万3638人 | |
5万〜6万円 | 776万979人 | |
6万〜7万円 | 1483万5773人 | |
7万円〜 | 188万2274人 |
※「1万〜2万円」は「1万円以上2万円未満」のこと
上記のデータからは、国民年金を月額で6万〜7万円受給している人が最も多いといえそうだ。ちなみに国民年金は保険料を納めた月数によって受給額が変わる。
厚生年金の平均月額で一番のボリュームゾーンは?
続いて厚生年金だ。以下の通り、一番のボリュームゾーンは9万〜10万円になっている。
厚生年金の月額別受給権者数 | ||
---|---|---|
年金月額 | 人数 | |
〜1万円 | 10万511人 | |
1万〜2万円 | 1万8955人 | |
2万〜3万円 | 6万6662人 | |
3万〜4万円 | 11万9711人 | |
4万〜5万円 | 12万5655人 | |
5万〜6万円 | 17万627人 | |
6万〜7万円 | 40万1175人 | |
7万〜8万円 | 69万4015人 | |
8万〜9万円 | 93万4792人 | |
9万〜10万円 | 112万5260人 | |
10万〜11万円 | 111万9158人 | |
11万〜12万円 | 101万8423人 | |
12万〜13万円 | 92万6094人 | |
13万〜14万円 | 89万7027人 | |
14万〜15万円 | 91万3347人 | |
15万〜16万円 | 94万5950人 | |
16万〜17万円 | 99万4107人 | |
17万〜18万円 | 102万4472人 | |
18万〜19万円 | 99万4193人 | |
19万〜20万円 | 91万6505人 | |
20万〜21万円 | 78万1979人 | |
21万〜22万円 | 60万7141人 | |
22万〜23万円 | 42万5171人 | |
23万〜24万円 | 28万9599人 | |
24万〜25万円 | 19万4014人 | |
25万〜26万円 | 12万3614人 | |
26万〜27万円 | 7万6292人 | |
27万〜28万円 | 4万5063人 | |
28万〜29万円 | 2万2949人 | |
29万〜30万円 | 1万951人 | |
30万円〜 | 1万6721人 |
一方、男女では一番のボリュームゾーンに差があり、男性は17万〜18万円が最多、女性は9万〜10万円が最多となっている。
こうした差が出るのは、厚生年金は国民年金とは異なり、納付月数のほか、収入・納付額も受給額に関係してくるからだ。
老後に困らないよう、大体の受給額を把握しておこう
ここでは国民年金と厚生年金について、受給額のボリュームゾーンを調べた。示した表からは、個人によって受給額にかなりの差があることが分かると思う。
老後について「年金を受け取れるから大丈夫」と短絡的に考えていたら、実際に受け取る額が少なくて困ることになるかもしれない。
事前に大体の金額で把握しておき、必要ならば早めに資産運用などを始めることも検討したい。
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「年金を30万円以上」もらっている人はどれくらい?国民年金・厚生年金の平均額はいくら?
文/編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月23日公開記事)