親が認知症になると、銀行口座から預金をおろせず困るなどのトラブルに見舞われることも。よって、親が認知症を発症することも想定してお金のことを話し合う必要がある。
また、もしも認知症を発症した場合にかかる「検査」「診療」「介護」などにかかる費用のことも事前に知っておきたい。
親が認知症になる前にしておくべき3つのこと
中高年になり、親が認知症になることを心配している人も多いだろう。認知症になって大変なのは介護だけではない。お金のことについては事前に対策が必要だ。たとえば銀行口座から預金をおろせず困ることがある。生活費や介護費が必要な場合でも預金は引き出せない。認知症になってから慌てないために、あらかじめ対策をしておくべきことを3つ紹介する。
対策1 口座から預金をおろせなくても困らないか確認する
実は口座の名義人が認知症になったことを銀行が知ると、その口座の取引は制限されて預金を引き出せなる。本人や家族でも預金はおろせない。
法定後見制度を使えば預金を引き出せるが、裁判所で行う手続きに3~4ヵ月ほどかかる場合がある。預金を引き出せない間、子が親の生活費を立て替えるだけのお金があるか、事前に確認しておきたい。
また両親がどんな認知症対策をしているのか、子も共有しておけば、仮に親が認知症になっても対処しやすくなる。たとえば両親それぞれの名義の口座に資金を分けて、一方が認知症になり預金がおろせなくなっても困らないようにしているか、確認したい。
対策2 認知症発症後にどうしたいか、親の希望を確認しておく
認知症になった場合に備えて用意すべき費用は生活費だけではない。本人が希望して介護施設に入る場合は入居費などの支払いが必要だ。
親の口座から預金をおろせない間に介護費用の支払いが生じて、家族が立て替えなければいけないことがある。
施設に入って費用がかかるか自宅で家族が介護するかは、認知症になったときの症状の程度や家族の状況で変わるが、親の希望は本人が元気なうちに確認しておきたい。
認知症発症後の対応やかかる費用は、本人がどうしたいかによっても変わるからだ。
たとえば親が施設への入所を望む場合は、施設に入るときに今住んでいる家を売却するのか、自宅の扱いも考えておく必要がある。
対策3 認知症になる前に利用できる制度の活用を検討する
親が認知症になったときに子が代わりに財産を管理できるように、親が元気なうちに検討しておきたいのが任意後見制度や家族信託の活用だ。
親が認知症になった後だと、任意後見制度や家族信託は利用できない。
任意後見制度では万が一認知症になったときに自分の財産の管理を任せる人を事前に指定でき、家族信託では元気なうちから信頼できる家族に財産を託して管理を任せられる。
また銀行によっては、事前に代理人を指定すると本人が認知症になったときに家族が預金を引き出せる場合がある。認知症対策を考えるには専門的な知識が必要になるので、FPなどの専門家に相談すると良い。
認知症でかかる3種のお金「検査・診療・介護」の相場は?
介護が必要になる原因の第1位は認知症だ(内閣府データ)。また、2060年には65歳以上の3人に1人が認知症になるともいわれている。認知症や介護は決して他人事ではない。認知症でかかるお金を把握し、必要な備えをしておこう。
認知症になったらかかるお金
まず認知症の「検査」にかかる費用はどれくらいなのか。検査の種類によるが、診察を含めて数千円から数万円の検査費用がかかるようだ。
認知症の検査費用の相場 | ||
---|---|---|
神経心理 | 200~850円 | |
CT | 5000~7000円 | |
MRI | 5000~8000円 | |
SPECT | 2万~3万円 |
次に診療が始まってからかかる「医療費」を確認してみよう。3割負担とすると、外来医療費は年間14万円、入院医療費は年間124万円となる。幻覚や異食などの症状が深刻化した場合、認知症治療病棟に入院することもある。
認知症の医療費の相場 | ||
---|---|---|
外来医療 | 3万9 | 600円/月 |
入院医療 | 34万4 | 300円/月 |
そして「介護」にかかる費用も確認してみたい。
認知症の介護費用の相場 | ||
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在宅介護 | 219 万円/年 | |
施設介護 | 353万円/年 |
1割負担とすると、在宅介護費は年間22万円、施設介護費は年間35万円となる。施設入居では要介護度が上がり、介護費が高くなっていると考えられる。
また、有料老人ホームや高齢者住宅などの施設に入居する場合、月額6~40万円ほどの費用がかかる。施設にもよるが、入居時に数十万円から数百万円の一時金がかかるケースもある。
認知症に備えるには?検討したい3つのこと
認知症に備える方法として、貯蓄以外に「認知症保険」がある。認知症保険では、認知症で要介護状態になった時に給付金を受け取れる。
また、「公的制度」についても理解を深めておきたい。介護保険サービスでは1割負担でホームヘルパーやデイケアを利用できる。また、高額療養費制度では高額になった医療費が戻ってくる。
何より大切なのは、家族で認知症になった場合について話し合っておくことだ。お互いに協力してお金の備えや心構えをしておくことで、その時がきても落ち着いて対処できるだろう。
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認知症でかかる3種のお金「検査・診療・介護」の相場は?
文/編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月28日公開記事)