「お金持ちは子どもにぜいたくさせている」と思っている人もいるでしょうが、実際は、経済的に恵まれた環境にあるお金持ちだからこそ、子供に早くからお金の価値について教育をしていまる。お金持ちにとっては、お小遣いやプレゼントは金融教育の機会の一つです。
イギリスで暮らす筆者の周囲のお金持ちが、どのようにして子どもを経済的に自立した大人に育てたのか、3つの家族の例を見てみましょう(すべて仮名)。
【特集・親子で考える「お金」】
・1 なぜ「うんこお金ドリル」が生まれたのか?金融庁インタビュー
・2 イギリスでは小学生にお金をこう教えている 在住ライターレポート
・3 人気FPコンビが伝授!子供が身につけるべき「お金の考え方」
・4 米国在住20年の筆者が見た、アメリカのお金の教育2つの特徴」
・5 フェラーリ、ディズニー株をプレゼント?「お金持ちの金融教育」
子供にフェラーリをプレゼント──「与えられたものから利益を得る手段」を考えさせる
先祖代々の資産家で、複数のクラシックカーを所有しているタッカーさんは、息子の18歳の誕生日には、コレクションからフェラーリを1台プレゼント。「手入れして自分で乗っても良いし、売ったお金で別の車を買ったり、他のことに投資したりしても良い」けれど、メインテナンスの費用は自己負担という条件つきでした。
タッカーさん曰く、「与えられたものからどのような利益を得るかは、自分の選択次第」というわけです。
結局、息子は大学卒業後にオークションで車を売却し、それを元手にコンサル関連の事業を立ち上げ、大成功を納めているようです。
5歳の子供にディズニー株を購入──「楽しみながら投資について学ばせる」
飲食店チェーンを経営するかたわら、株式投資で一財産を築いたローガンさんは、当時5歳だった息子のために500ポンド(約8万円)相当の株式を購入しました。銘柄は息子さんが大好きだった、ウォルト・ディズニー・カンパニー。
奥さんは「まだ早いのでは」と反対したそうですが、息子は毎日株価が上がったり下がったりするのを熱心にチェックし、株式投資の仕組みを自然に学んだといいます。
判断を誤って損失を出すなどの失敗も多々ありましたが、自らの経験から学び、利益が出ると他の銘柄に投資するなどして、どんどん保有株を増やしました。
それから長い歳月が過ぎ、現在、息子さんは大手証券会社のトップブローカーとして、ニューヨークで活躍しているといいます。
自宅晩さん会でかいがいしく働く子供たちに感心──小遣いを与えず労働の対価を報酬として渡す
不動産を多数所有するエリオットさん宅の晩さん餐会に、筆者が招待された際、3人の子ども(当時16歳、12歳、7歳)がディナーの準備から後片付け、ゲストのもてなしまで、自発的に手伝っている姿に感心しました。
エリオットさんに子どものしつけ・教育についてたずねると、子どもたちには無条件にお小遣いを与えておらず、「労働=家の手伝い」に対して「報酬=お小遣い」を支払うと教えてくれました。
基本ルールは「自分のベッドルームは3日に1度、自分で掃除する」というもので、ほかには親の車の洗車、犬の散歩、窓ふき、ゴミ出し、庭のフェンスのペンキ塗り、草むしりなど、毎日のように色々な“仕事”があるといいます。
報酬はタスクと年齢により様々で、受け取ったお金をどのように使うかは自由。「労働はお金の価値について学ぶベストな方法」というのが、エリオットさん流の金融教育です。
その結果、3人の子どもは労働で得たお金を無駄遣いせず、かつ自発的に人助けができる大人に成長しました。
一般家庭でも参考にできる?
方法はそれぞれ異なるものの、「計画的にお金を使う習慣を身に着けさせ、親の資産に依存しない、経済的に自立した大人に育てる」ことが狙いという共通点があります。
フェラーリや何万円もする株を与えるあたり、お金持ちならではと言えますが、彼らがやっている教育方法の中にも、一般家庭で参考にできるヒントがたくさんあるのではないでしょうか。
文・アレン琴子(英国在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
画像・J-F Phillips / stock.adobe.com(画像はイメージです)
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